さいたま市浦和区高砂1-16-12【地図へ】
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脂漏性皮膚炎とは、皮脂の分泌が多い部位(脂漏部位)に、フケ(鱗屑)や赤み(紅斑)、かゆみを生じる疾患です。
具体的には、頭部や顔面(額や眉間など、いわゆる「Tゾーン」)、鼻の周囲、わきの下(腋窩)などが好発部位となります。
脂漏性皮膚炎の発症には、以下のような機序で、皮膚常在菌である「マラセチア」が関与していると考えられています。
脂漏性皮膚炎は、大きく乳児型と成人型に分けられます。
乳児脂漏性皮膚炎とも呼ばれ、生後2〜4週頃から、主に頭部や顔面に赤みや黄色調のかさぶた(痂皮)がみられます。
頭部にかさぶたができると、ときに毛髪を巻き込んで固まってしまうこともあります。
皮膚の適切なケアをすることで、生後1年を過ぎるころには自然軽快が期待できます。
成人型はフケと赤みが症状の中心となり、頭部、顔面のほか、わきの下(腋窩)、ときに胸や背中などにも症状がみられます。
性別としては、男性ホルモンによって皮脂の分泌が亢進することから、女性よりも思春期以降の男性に多く生じます。
乳児型とは異なり、慢性に経過し、一旦落ち着いても再発することが多いとされています。
赤みやかゆみなど、皮膚の炎症に伴う症状を認める場合は、短期的にステロイドの塗り薬(外用薬)を用います。
小児と成人では使用できるステロイドの強さが異なりますので、適切な薬剤の選択が重要です。
また、頭部の症状に対しては、ローションタイプの薬剤が一般的ですが、最近ではシャンプーとして使用できる薬剤も出てきておりますので、患者さん1人1人の症状やライフスタイルに合った治療を提案させていただきます。
皮脂を分解するマラセチアの増殖を抑制する塗り薬を使用することで、脂漏性皮膚炎の症状抑制が期待できます。
ステロイドと比較し即効性がないこと、強い症状に対しては効果が乏しいことがデメリットですが、長期に使用しても副作用がほとんど見られないことから、脂漏性皮膚炎に対して考慮すべき治療といえます。
かゆみが強いときには抗ヒスタミン薬の内服を併用することがあります。
また、特に乳幼児の頭皮に分厚いかさぶたができてしまった場合、無理に剥がそうとすると皮膚を刺激することにつながりますので、ふやけさせる目的で親水クリームなどの保湿剤を使用します。
軽症の方では、マラセチアを抑える成分が配合されている市販のシャンプーや石けん(医薬部外品)を使用するのも1つの方法です。
脂漏性皮膚炎については、以下の記事でも詳細に解説しています。