【頭や顔の「フケ」「赤み」「かゆみ」】脂漏性皮膚炎について【皮膚科専門医が解説】

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はじめに: 脂漏性皮膚炎とは

脂漏性皮膚炎しろうせいひふえんとは脂漏、すなわち皮脂の分泌が盛んな部位にフケや赤み、かゆみを生じる疾患です。

特に頭皮に生じるフケは特徴的な症状であり、「フケ症」としてご存じの方も多いと思います。

今回は脂漏性皮膚炎の原因や症状、治療について解説します。

脂漏性皮膚炎の原因

脂漏性皮膚炎の原因として、皮脂の分泌異常に加えて、皮膚に常在する真菌すなわちカビの一種であるMalassezia(マラセチア)属の関与が考えられています。

頭部や顔面、脇の下など皮脂腺が多い部位で皮脂の分泌異常が生じると、皮脂中に含まれているトリグリセリドなどがマラセチアによって遊離脂肪酸に分解されます。

この遊離脂肪酸が皮膚を刺激し、皮膚において炎症を生じている状態が脂漏性皮膚炎の正体です。

脂漏性皮膚炎の症状

脂漏性皮膚炎では、フケや赤みが頭部、顔面、脇の下などの皮脂腺が多く分布する部位に発生し、放置・悪化するとかゆみを生じることもあります。

顔面では特に眉毛や眉間、鼻の両脇(いわゆるTゾーン)、耳周囲(こめかみや耳の裏)によく発症します。

また、脂漏性皮膚炎は発症年齢から乳児型と成人型に分けることができます。

①乳児脂漏性皮膚炎

早ければ生後2〜3週頃より、一時的な皮脂の分泌亢進に伴い、顔面や頭皮に赤み、ブツブツ、かさつきが生じ、悪化すると分厚いかさぶたを形成することもあります。

皮脂の分泌が落ち着くと症状も改善してくるため、通常は1歳頃までに自然に治ることが期待できます。

②(成人型)脂漏性皮膚炎

思春期から40歳頃の成人で発症するものをいい、慢性に症状を繰り返すことが特徴です。

男性ホルモンであるアンドロゲンが皮脂の分泌を促進するため、男性に好発します。

また、パーキンソン病では自律神経の異常により皮脂分泌が過剰になること、HIV/AIDSでは免疫不全によりマラセチアの過剰増殖をきたすことから、これらの疾患では脂漏性皮膚炎を合併する頻度が高くなっています。

脂漏性皮膚炎の治療

脂漏性皮膚炎の治療の中心は、フケや赤みなどの皮膚症状を抑えることと、マラセチアの繁殖を抑え症状悪化を予防することです。

前者にはステロイド外用薬(塗り薬)が、後者には抗真菌薬の塗り薬であるケトコナゾールが広く使用されています。

① ステロイド外用薬

フケや赤み、かゆみの悪化がみられている場合、皮膚の炎症を抑える目的でステロイドの塗り薬を用います。

ステロイドのランク(強さ)は年齢や症状の程度に応じて決定され、一般的に乳児の脂漏性皮膚炎では成人に対するものよりも弱いステロイドが処方されます。

なお、適応は成人が中心ですが、2021年にはシャンプータイプのステロイド外用薬が使用可能となり、治療法の選択肢が広がりました。

ステロイドの塗り薬は脂漏性皮膚炎の症状に対して即効性のある治療であるものの、長期間使用すると副作用を生じやすくなるため、慢性に症状を繰り返している場合は、抗真菌薬等、他の治療を併用することが望まれます。

② 抗真菌薬

脂漏性皮膚炎の原因の1つであるマラセチアの繁殖を抑える目的で、ケトコナゾールという抗真菌薬を用いることがあります。

抗真菌薬の塗り薬は他にも多くの種類がありますが、「脂漏性皮膚炎」に適応があるのはケトコナゾールのみであることに注意が必要です。

また、他の真菌感染症(水虫など)では1日1回の外用である一方、脂漏性皮膚炎にケトコナゾールを用いる場合は通常1日2回の外用を行います。

なお、以前から市販のシャンプーにも抗真菌薬の成分が配合されたものがあり、なかなか治らない場合や、薬を外用すること自体が難しい場合は、このような製品を使用するのも1つの方法です。

ステロイドと比較すると、症状に対する即効性は乏しいものの、副作用を生じにくい点、長期に外用することで脂漏性皮膚炎の再燃・悪化を防げる点がメリットです。

普段の生活での注意点

普段の生活では、皮膚を清潔に保ち、皮脂を溜めすぎないようにすることが重要です。

皮膚のフケやかさぶたを洗う際には石鹸やボディーソープをよく泡立て、無理にこすったり爪でひっかいたりせず、指の腹を使って優しく洗いましょう。

分厚いかさぶたが付着している場合は、追加で塗り薬を用いてかさぶたが取れやすいようにすることもあります。

大人の方の場合、皮脂分泌を促進するような脂っぽい食事やアルコール、香辛料は摂りすぎないように注意しましょう。

最後に

脂漏性皮膚炎の診断や治療について解説しました。

脂漏性皮膚炎は乳児や思春期〜40代の男性に多くみられる疾患ですが、繰り返しやすく症状が悪化するとかゆみも伴うため、早期から適切な治療を行うことが大切です。

また、脂漏性皮膚炎と思っていたら別の病気だったということもありますので、症状に関して不安な方はぜひ一度皮膚科にご相談ください。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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