【水痘・帯状疱疹の診断に】迅速検査キットについて【皮膚科専門医が解説】

目次

はじめに

お子さんに多くみられる水痘(水ぼうそう)と、大人の方に比較的多くみられる帯状疱疹は、どちらも同じ「水痘・帯状疱疹ウイルス」を原因とする疾患です。

今回は、当院でも使用している水痘・帯状疱疹の迅速検査キットについて解説します。

なお、帯状疱疹に関しては以下の記事でも詳しく解説していますので興味のある方はぜひお読みください。

水痘・帯状疱疹の診断について

水痘(水ぼうそう)や帯状疱疹は、皮膚科においては症状の経過を考慮しつつ、肉眼的に(見た目で)診断することが一般的ですが、ときおり、虫刺されやかぶれであったり、似たような症状を呈する他のウイルス感染症と区別がつかない例もみられます。

見た目のみでの診断が難しい場合、以前は主に血液検査や顕微鏡を用いた検査(ツァンク試験)を追加していましたが、どちらも一長一短であり、最終的な判断に苦慮することも少なくありませんでした。

検査法メリットデメリット
血液検査水痘・帯状疱疹ウイルスと他のウイルス感染について
同時に調べることが可能
結果が判明するまで数日かかる
過去の感染と区別しづらいことがある
顕微鏡検査水疱(水ぶくれ)の一部を採取し、顕微鏡で確認する
ことで、その場でウイルス感染の有無が判明する
他のウイルス感染(ヘルペスなど)
との区別がつかない
水痘・帯状疱疹の主な検査法

そのような中で、2017年より、ウイルス抗原を用いた迅速検査キット「デルマクイック®VZV」が保険適用開始となりました。

水痘・帯状疱疹の迅速検査キットについて

「デルマクイック®VZV」は、水痘・帯状疱疹ウイルスが患者さんの皮膚に存在しているかを、症状がある部位をこすることによって調べる検査キットです。

検査方法

①皮膚に水ぶくれがある部位を選び、水ぶくれを除去した後、びらん面(皮膚がむけているところ)を専用の綿棒でこすります。

②綿棒を検査液に入れ、数回撹拌(混ぜること)します。

③撹拌した検査液(試料)を3滴、検査キットに滴下し、5~10分後に陽性・陰性の判定を行います。

検査費用

2024年1月現在、3割負担の方で検査費用は約1150円です。

このほか、初再診料や、薬が処方される場合は処方料などがかかります。

最後に

今回は水痘・帯状疱疹ウイルスの比較的新しい検査法である「デルマクイック®VZV」について解説しました。

なお、ご注意いただきたい点として、今回ご紹介した「デルマクイック®VZV」は、皮膚にまったく症状が出ていない場合は検査を行うことができません。

しかしながら、特に帯状疱疹では皮膚症状よりも痛みが先に出てくることが多く、治療の遅れによって痛みが長引くリスクもあるため、「帯状疱疹かな?」と思われた際には皮膚症状の有無にかかわらず医師にご相談いただければ幸いです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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