乾癬の新しい治療薬、ソーティクツ®錠

【今回のポイント】

■乾癬の治療薬として2022年に発売されたソーティクツ®錠について解説します

■ソーティクツ®錠はTYK2という酵素の働きをブロックすることで乾癬の炎症を抑える効果があります

■活動性結核や重篤な感染症をお持ちの方などは内服できず、内服できる方も定期的に血液検査やレントゲンなどで副作用のスクリーニングを行うことが求められています

■新しい薬剤のため2023年12月までは14日間の処方制限があることや、薬剤費に留意する必要があります

目次

はじめに

乾癬かんせんは「炎症性角化症」と呼ばれる皮膚疾患の一種であり、皮膚に鱗屑りんせつ(かさつき)を伴う紅斑(赤み)が出現するほか、一部の方では関節炎を合併することもある慢性疾患です。

皮膚科領域においては、アトピー性皮膚炎と同様に、ここ数年で新たな薬剤が次々に発売され、その効果に期待が高まっています。

今回は乾癬の新しい内服薬(飲み薬)であるソーティクツ®錠について、使用法と注意点をまとめます。

ソーティクツ®錠

概要

ソーティクツ®錠(一般名: デュークラバシチニブ)は、2022年に発売された、乾癬に対する世界初の傾向TYK2(チロシンキナーゼ2)阻害薬です。

乾癬の患者さんの体内ではIL-12、IL-23、IFN-αといったサイトカイン(※)が、TYK2という酵素を介して細胞内に信号を伝達し、その結果として皮膚に炎症を生じさせます。

(※サイトカイン: 体内で細胞間の情報伝達を行うタンパク質)

ソーティクツ®錠はTYK2の働きをブロックすることで、これらのサイトカインの信号を抑え、乾癬の炎症(皮膚症状)に対して効果を発揮します。

なお、TYK2阻害薬はアトピー性皮膚炎の治療薬としても用いられているJAK(ヤヌスキナーゼ)阻害薬と同じタイプの薬剤であり、炎症に関連するシグナルをブロックするという共通点があります。

ソーティクツ®錠を使える方、使えない方

ソーティクツ®錠は、「既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症」の方で使用可能ですが、使用に際しては以下のような条件が示されています。

①光線療法を含む既存の全身療法(生物製剤を除く)等で十分な効果が得られず、皮疹が体表面積の10%以上に及ぶ患者

難治性の皮疹又は膿疱を有する患者

(「ソーティクツ®錠」添付文書より)

また、ソーティクツ®錠は、以下の条件に当てはまる方は内服できません(禁忌)。

・薬剤の成分に過敏症のある方

・重篤な感染症

・活動性結核

このため、内服を開始する前には必ずレントゲンもしくはCT検査で結核がないか、また血液検査でB型・C型肝炎のウイルスが体内にいないかなどを確認する必要があります。

さらに、使用中も、以下のような間隔での定期検査が推奨されています。

本薬剤投与後も、定期的に問診、血液検査、画像検査(胸部 X 線など)を行い、安全性を十分に担保する必要がある。投与後の検査の間隔に関しては、基本的に乾癬における生物学的製剤の使用ガイダンスに準じるが(治療開始後 1カ月、3カ月、6カ月、その後は6カ月に1回を目安に実施)、本薬剤の使用に当たっては特に慎重な観察を行い、6カ月以降の定期的な検査に関しても3カ月に1回を目安に症例に応じて適切な間隔で行うことを推奨する。

(日本皮膚科学会 乾癬におけるヤヌスキナーゼ(JAK)阻害内服薬(JAK1 阻害薬と TYK2 阻害薬)の使用ガイダンスより抜粋)

用法・用量

ソーティクツ®錠は、成人で6mg(1錠)を1日1回内服となっています。

増量・減量は認められていません。

また、使用中は生ワクチンの接種ができません。

副作用

ソーティクツ®錠で比較的多い副作用は上気道感染(頻度: 5%以上)です。

その他、単純ヘルペスや帯状疱疹、ざ瘡(ニキビ)様皮疹、血液中のCK(クレアチニンキナーゼ)値上昇などが報告されています。

特に感染症には注意が必要ですので、使用中に発熱や喉の痛みなど異常を感じた際は、速やかに主治医に相談するようにしましょう。

費用

ソーティクツ®錠の薬剤費は1錠2770.90円です。30日内服すると、3割負担の方ではおよそ24,938円となります。

上記に関しては薬剤費のみの価格です。

また新薬のため2023年12月までは14日間の処方制限があります。

ソーティクツ®錠のまとめ

ソーティクツ®錠の特徴について表にまとめました。

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ソーティクツ®錠
一般名デュークラバシチニブ
用法・用量1日1回6mg
腎機能添付文書に記載なし
肝機能重度の肝機能障害では
可能な限り投与を避ける
注意点内服中は生ワクチンの接種不可
薬剤費
(30日内服
3割負担の場合)
24,938円
ソーティクツ®錠のまとめ

最後に

乾癬の新しい治療薬であるソーティクツ®錠については以上となります。

当院の院長は大学病院で外来・入院を問わず多くの乾癬患者さんの治療実績があります。

乾癬に関するお悩みに対して、必要時は他の医療機関とも連携しつつ、適切に対応できるよう努めてまいります。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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