皮脂欠乏性湿疹

皮脂欠乏性湿疹とは

皮脂欠乏性湿疹は、文字通り皮脂(トリグリセリド)や角質のセラミド、天然保湿因子(NMF)といった、皮膚の水分を保持する成分が減少することにより、乾皮症(乾燥肌)、続いて湿疹を生じる疾患です。

加齢に伴う皮脂の分泌や発汗低下、空気の乾燥や暖房器具の使用を背景に、特に高齢者の方で冬に好発しますが、実際には年齢・季節を問わず様々な方にみられます。

皮脂欠乏性湿疹の症状

皮脂欠乏性湿疹では、皮膚の乾燥の他、角質がぽろぽろと剥けて落ちる(鱗屑りんせつ落屑らくせつ)、赤み(紅斑)やかゆみといった湿疹による症状を認めます。

「乾燥肌に保湿をしていたけれど治らない」と受診される方の中には、既に湿疹を生じており、保湿以外の治療薬が必要な方も少なからずおられます。

お困りの際には、ぜひ一度皮膚科を受診してみてください。

皮脂欠乏性湿疹の治療

①保湿

皮脂欠乏性湿疹の治療には、保湿がもっとも重要です。

保湿剤には大きくわけて以下の2種類があります。

  1. ヒルドイドソフト軟膏に代表される「ヘパリン類似物質」や、「ケラチナミンコーワクリーム」などの尿素製剤: 皮膚表面の角質の水分保持量をアップさせ、皮膚に潤いを与える働きがあります。このような働きを持つ保湿剤を「モイスチャライザー」と呼びます。
  2. 「白色ワセリン」や「プロペト」など: 皮膚を覆い、皮膚表面からの水分の蒸発を防ぐ作用があります。このような働きを持つ保湿剤を「エモリエント」と呼びます。

この中でもヘパリン類似物質には、軟膏やクリーム、スプレーなど様々なタイプの薬剤があり、患者さんのライフスタイルや好みに合った選択が可能となっています。

また、保湿剤は1日1回よりも2回、3回と繰り返し外用すると効果が高まることが知られています。

基本は1日2回、朝と夕方に外用し、特に夕方は入浴時の石鹸やボディーソープの使用によって皮脂が洗い流されてしまうため、お風呂上がりに保湿をして乾燥を防ぐようにしてください。

②ステロイド外用薬

赤みやかゆみをはじめとする、湿疹の症状を認める場合は、保湿に加えてステロイド外用薬を使用します。

ステロイドの強さは5段階に分かれており(これを「ランク」と言います)、症状が出ている部位や、湿疹の重症度に応じて適切な強さの外用薬を適切な量で使用することが重要です。

当院ではステロイドの強さ以外にも、症状に応じて細かく処方を調整し、最適な治療ができるように努めます。

③抗ヒスタミン薬

かゆみの症状が強い場合には、外用薬に加えて、抗ヒスタミン薬の内服を併用することもあります。

皮脂欠乏性湿疹における生活上の注意点

皮脂欠乏性湿疹では、日常生活の中で乾燥を避け、皮膚に過度な刺激を与えないことが重要です。

■特に冬はエアコンの使用により室内が乾燥しやすいため、加湿器などで部屋の湿度を保つようにしましょう。

■かゆいからといって入浴時に皮膚を強くこすると、症状の悪化を招きますので、ナイロンタオルの使用は避けて、綿などの天然素材を用いるか、石鹸やボディーソープをよく泡立てて手で優しく洗うようにしましょう。

■入浴後は、タオルで優しく水分を拭き取り、しっかりと保湿を行うようにしてください。