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足白癬とはその名の通り、白癬菌という真菌(カビ)が足の皮膚に感染した状態です。
一般的には「水虫」の名前の方がよく知られていますので、以下そのように記載します。
ちなみに、顔や背中など、体の皮膚に白癬菌が感染した場合は「たむし」という別の俗称があり、医学的には体部白癬と呼ばれます。
今回は水虫のタイプ別の症状や、塗り薬での治療、生活上の注意点に関して解説します。
水虫は症状別に3つのタイプに分けることができます。
趾間型は足の趾の間に症状が強く出るタイプで、特に第4趾間(薬指と小指の間)によく生じます。
赤みや皮むけがみられ、皮膚がふやけてじゅくじゅくとしやすいことも特徴です。
水虫の3つのタイプの中では、最も多いと言われています。
小水疱型は主に足底(足の裏)に小さな水ぶくれが複数できるタイプで、強いかゆみや炎症を伴うことが多いとされています。
角質増殖型は足底(足の裏)を中心に角質が分厚くなり、かさつき、亀裂(ひび割れ)を生じます。
かゆみを伴うことは少ないものの、ひび割れが生じた際に痛むことがあります。
足の趾間や裏に皮むけ、水ぶくれがみられた場合、「水虫にかかってしまった」と思われる方が多いと思いますが、実は接触皮膚炎(かぶれ)や異汗性湿疹(汗が関与し、手足に生じる湿疹)など、水虫に似た症状を呈する病気は複数存在します。
そのため、水虫の治療を始める前には、検査をしてしっかりと診断をつける必要があります。
水虫の検査は、足の皮膚の一部(角質)を剥がし、プレパラートに載せ、顕微鏡で内部にいる真菌の存在を確認することで行います。
顕微鏡では白癬菌はソーセージが縦に連なっているような形(菌糸)として見ることができます。
市販薬も含め、抗真菌薬を塗っている状態では顕微鏡の検査をしても真菌が発見できないことがあります。
「水虫の症状が出ているが、市販の薬を使っても治らない」といった相談で皮膚科を受診する場合、水虫の診断を確実に行うために、受診前に1〜2週間程度、塗り薬を中断することをお勧めします。
検査を行い水虫の確定診断がついた後は、通常、抗真菌薬の外用(塗り薬)で治療します。
1日1回の外用を行い、趾間型であれば2カ月、小水疱型で3カ月、角化型では6カ月ほど外用することで改善が見込めますが、一見皮膚が綺麗になったようにみえてもわずかに菌が残存している可能性があるため、綺麗になってからも1カ月程度追加で外用するのが良いといわれています。
同様に、確実に菌を死滅させるため、足の一部のみの症状であったとしても両足の広い範囲(趾間、足底、踵周囲など)に抗真菌薬の外用を行うことが推奨されています。
外用治療で難治な場合、特に角化型の水虫では、内服(飲み薬)での治療を行うこともあります。
水虫の治療に用いる外用薬(塗り薬)の例を以下に示します。
使用感の良さからクリーム製剤が処方されることが多いですが、感染している皮膚の状態などにより軟膏や液体の製剤を使い分ける場合もあります。
なお、抗真菌薬は比較的かぶれを生じやすい塗り薬の1つとされていますので、処方された薬を外用して赤み、かゆみが悪化した場合は速やかに使用を中止し、医師に相談しましょう。
製品名 (一般名) | クリーム | 軟膏 | ローション・液 |
ルリコン® (ルリコナゾール) | ◯ | ◯ | ◯ |
ニゾラール® (ケトコナゾール) | ◯ | – | ◯ |
アスタット® (ラノコナゾール) | ◯ | ◯ | ◯ |
ペキロン® (塩酸アモロルフィン) | ◯ | ◯ | ◯ |
メンタックス® (塩酸ブテナフィン) | ◯ | – | ◯ |
ゼフナート® (リラナフタート) | ◯ | – | – |
ラミシール® (塩酸テルビナフィン) | ◯ | – | ◯ |
以下、自宅で水虫に感染しない・させない、もしくは感染後に水虫を確実に治癒させるため、注意すべきポイントです。
水虫は足の皮膚に白癬菌が付着し、24時間ほどかけて角質内部に入り込むことにより感染します。
また、足に細かい傷があると12時間ほどで感染が成立すると言われています。
ご家族や同居の方で水虫にかかっている人がいる場合、その人の足から落ちた菌が他の人の足に付着することで感染しますので、共用のバスマットやトイレのスリッパに注意が必要です。
バスマットやラグはこまめに洗濯・日干しし、洗濯できないものに関しては水拭きした後に乾燥させます。
感染リスクを減らすために、個人のバスマットを使用することも有効といえます。
衣類に関しては、水虫とそうでない方の衣類を一緒に洗濯することは問題ないとされています。
フローリングの床や畳は掃除機、水拭きを行い清潔を保つことに努めましょう。
特に家具の下や部屋の隅には髪の毛や埃とともに菌が存在しているため、このような場所も意識して掃除することが大切です。
不特定多数の方が裸足でシャワーなどを利用する施設では、水虫の感染のリスクがあります。
自宅に帰った後、もう一度お風呂で丁寧に足を洗うことで感染予防になります。
その際、足は丁寧に指の間まで洗い、入浴後は水分を拭き取って乾燥させるように心がけましょう。
水虫の治療は1日1回の抗真菌薬の外用を行います。
塗るタイミングは塗り薬が角質に浸透しやすい入浴後が良いとされています。
高温多湿の環境で菌が繁殖しやすいため、特に趾間型で皮膚がじゅくじゅくしている場合は、指と指の間にガーゼを挟む、5本指の靴下を履く、といった対策も有効です。
靴は通気性の良いものを選び、ときどき脱いで風を通したり、連続で同じ靴を履かないよう(靴の中でも菌は増殖するため)ローテーションすることも考慮しましょう。
足白癬(水虫)は適切な診断、治療で完治が見込める疾患です。
ご自宅での治療で水虫の症状が治らない場合は、皮膚科への受診をお勧めします。
水虫については以上です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。