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今回は紫外線と、日焼け止めを中心とした紫外線対策のポイントについて詳しく解説します。
紫外線は、可視光線(目にみえる光)よりも波長が短く、目で見ることができない光線です。
具体的にはUVA、UVB、UVCの3種類があり、それぞれ以下のような特徴があります。
紫外線の中でもっとも波長が長く(320〜400nm)、皮膚の奥深く、真皮にまで到達します。
長期的にはシワやたるみをはじめとする光老化の原因となります。
UVAよりも波長が短く(280〜320nm)、主に表皮に影響を及ぼします。
皮膚の中で到達する深さはUVAには及びませんが、与えるダメージはUVAよりも強いため注意が必要です。
実際に、UVBによる日焼け作用はUVAの約600〜1000倍の強さであると言われています。
UVCは紫外線の中でもっとも波長が短く(100〜280nm)、殺菌灯などに用いられることもあります。
人体への影響もUVAやUVBと比較して強いと考えられますが、実際には大気中のオゾン層で吸収されるため、地表には届きません。
そのため、普段の紫外線対策では地表に届くUVAとUVBから皮膚を防御することが重要となります。
紫外線が皮膚に与える影響として、以下のようなものが挙げられます。
症状 | 詳細 |
日焼け | サンバーン(赤)、サンタン(黒) 主にUVBによる影響 |
光老化 | シミやしわ、たるみなど |
光発癌 | 日光角化症、有棘細胞癌など |
その他 | 光線過敏症、皮膚免疫の抑制など |
普段から日焼け止めをはじめとする紫外線対策をしっかり行うことで、これらの影響を軽減し、健康な肌を保つことが期待できます。
地域によって年間の紫外線照射量に差はありますが、一般的には3月頃から地表に届く紫外線量が多くなり、その傾向は10月頃まで続きます。
そのため、「3月〜10月」が、日焼け止めを使用する時期の目安といえるでしょう。
ただし当然ながらそれ以外の時期も紫外線はゼロにはならないため、よりきめ細やかな対策を望まれる方は、日焼け止め下地や帽子、日傘なども活用しながら、年間を通じて紫外線の防御に努めることが有効といえます。
次に、日焼け止めの具体的な特徴について、その効果の指標であるSPFとPAの違い、紫外線を防御する仕組みである吸収剤と散乱剤の違いを含めて解説します。
“Sun Protection Factor”の略で、UVBに対する防御効果を示すものです。
紫外線が肌に当たると、一定の紫外線量で翌日に肌がわずかに赤くなりますが、SPFの数値は、塗っていないときと比べて何倍の量の紫外線が当たった際に、同じように肌が赤くなるかを示しています。
SPF30の製品では、30倍の紫外線が当たった際に翌日肌が赤くなり、SPF50の製品であれば、50倍の紫外線まで対応可能ということになります。
なお、SPF50以上は実際の効果にあまり差がなくなるため、SPF50以上の場合は「50+」の表記となることが一般的です。
“Protection Grade of UVA”の略で、UVAに対する防御効果を示すものです。
PA+〜PA++++までの製品があり、+の数が多いほど防御効果が高いことを示します。
紫外線吸収剤は、紫外線を熱エネルギーなどに変換することで、皮膚へのダメージを抑制することを目的とします。
具体的な成分名としては、メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、メトキシケイヒ酸オクチル、オクトクリレンなどが挙げられます。
紫外線防御効果は高く、使用感も良い一方で、刺激も生じやすいため、肌の弱い方では注意が必要です。
紫外線散乱剤は、物理的に紫外線を反射・散乱させることにより防御効果を発揮します。
具体的には、酸化チタンや酸化亜鉛が用いられます。
皮膚への刺激が少ないことが特徴ですが、伸びが悪く、白浮きしやすいというデメリットもあります。
実際に日焼け止めを選ぶ際には、使用環境に応じて適切なSPF、PAの製品を選択することが望まれます。
また、紫外線吸収剤は刺激が強く出る可能性もありますので、肌の弱い方や、小さなお子さんが使用する際には、吸収剤ではなく散乱剤を含む製品の使用を検討するのも良いでしょう。
日常生活 (通勤・通学) | 軽めのレジャー (休日の散歩、買い物、ドライブ) | 屋外活動 (マリンスポーツ、登山) | |
---|---|---|---|
目安の時間 | 1時間程度 | 1〜3時間 | 3時間〜 |
SPF | 5〜10 | 20〜30 | 40〜50+ |
PA | +〜++ | ++〜+++ | +++〜++++ |
備考 | 耐水性があるものを検討 |
日焼け止めを塗る際には、①塗る量、②塗る頻度、の2点に特に注意が必要です。
まず、塗る量については、製品に記載されたSPFやPAの効果をしっかりと出すために、「ちょっと多すぎるかな」と思うくらいの量を使用することが重要です。
目安としては、顔全体で液状の製品であれば500円玉1個分、クリーム状の製品では真珠の玉2個分程度が適切とされています。
また、汗や水で流れたり、顔や腕を直接触ることで日焼け止めが取れてしまいますので、日中も2〜3時間おきに塗り直すとより高い効果を得ることができます。
「日焼け止めは何歳から塗ることができますか?」という質問を、外来で受けることがあります。
一般的に生まれたばかりのお子さんは肌が弱く、日焼け止め自体が刺激になる可能性がありますので、外出が増えてくる生後半年〜1歳以降を目安にすると良いでしょう。
また、その時期のお子さんは乳児湿疹で肌が荒れやすい時期でもあることから、肌の状態によっては、日焼け止めの使用が可能かどうか、医師とよく相談してください。
日焼け止めの選び方と塗り方を中心に解説しました。
当院では、「お肌の健康を守る」という理念のもと、紫外線対策をはじめとする皮膚疾患の予防についても積極的に発信していきたいと考えています。
ここまでお読みいただきありがとうございました。