【日光による赤み、かゆみ】多型日光疹、日光蕁麻疹について 【皮膚科専門医が解説】

目次

はじめに

関東では真夏日が相次ぎ、日差しの強い時期となってきました。

日光による皮膚への影響としては「日焼け」が代表的ですが、今回は日焼けよりも少ない光線量で生じる「光線過敏症」である、多型日光疹たけいにっこうしん日光蕁麻疹にっこうじんましんについて解説します。

光線過敏症とは

光線過敏症とは、通常では問題のない量の光線が肌に当たった結果、赤みやかゆみ、水ぶくれなどの異常な皮膚症状が生じる状態を指します。

今回紹介する多型日光疹や日光蕁麻疹以外にも、内科の病気と関連していたり、薬のアレルギーとして生じるなど、その原因は多岐にわたります。

多型日光疹について

症状

多型日光疹は、日光(紫外線)に当たった後、腕や胸元などにかゆみを伴う赤み(紅斑)やブツブツ(丘疹)がみられることが特徴です。通常は日光に当たってから30分〜数時間以内に出現しますが、翌日以降に遅れて発症することもあります。

顔に症状が出ることは比較的少ないとされ、10代〜30代の女性に多くみられます。

「日光アレルギー」や「紫外線アレルギー」とも称されることのある病気ですが、実際には紫外線そのものではなく、紫外線によって体内でアレルギーの元となる物質(アレルゲン)がつくられ、これに対してアレルギー反応を生じている状態です。

治療

多型日光疹は通常何もしなくても数日で落ち着きますが、繰り返し日光に当たり治りにくくなっている場合や、かゆみなどの症状が辛い場合は、ステロイドの外用薬(塗り薬)で対応します。

また、場合によっては抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)の内服も使用することがあります。

日光蕁麻疹について

症状

日光蕁麻疹は、文字通り日光が当たった場所に、蕁麻疹が生じる状態を指します。

具体的には、日光に当たった直後から肌に赤み、かゆみが出現し、ときにみみず腫れとなります。

日光の中でも可視光線(目にみえる光)が原因とされていますが、紫外線が影響する場合もあります。

治療

日光蕁麻疹は多型日光疹と比較すると症状出現までの時間が短く、日陰に入るなど、日光を避けることで速やかに(数分〜数時間程度)症状が消失するという特徴があります。

外用薬(塗り薬)の効果は期待できず、症状が強い場合には抗ヒスタミン薬(抗アレルギー薬)の内服で対応します。

日常生活での注意点

上記の症状は、いずれも日光が肌に当たることで誘発されますので、まずは強い日差しを避けることが重要です。

多型日光疹では紫外線の中でもUVAが原因となっていることが多いため、日焼け止めの中でもPA(UVAを防御する指標)の値が高いものを使用することが望ましいとされています。

また、日焼け止めを塗る際には、時間が経つと流れてしまい効果が落ちることから、数時間おきにしっかりと塗り直す様にしましょう。

日焼け止めの塗り方のコツについては、以下の記事もお読みください。

日光蕁麻疹では、前述のように紫外線ではなく可視光線が原因となっていることが多く、日焼け止めの効果はあまり期待できません。

そのため、日傘や長袖の服、アームカバーなどを活用し、可能な限り直射日光を避けることが推奨されます。

これらの対策は、多型日光疹をはじめとする他の光線過敏症でも有効です。

最後に

今回は多型日光疹と日光蕁麻疹について、具体的な症状、対処法を交えて解説しました。

「春から夏にかけて、日光に当たると肌がかゆくなる」という方は、上記のどちらかの症状に当てはまる可能性がありますので、お困りの際はぜひ一度ご相談ください。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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