さいたま市浦和区高砂1-16-12【地図へ】
JR浦和駅直結・アトレ浦和West Area4階
TEL: 048-883-4112
前回のブログでは、「今年の花粉は過去10年で最強!?」という話にはじまり、花粉症に対して用いる代表的な抗ヒスタミン薬について解説しました。
今回は、内服薬以外に用いることのある、点眼薬・点鼻薬について解説します。
点眼薬は一般的に目薬とも呼ばれ、目にさす(滴下する)ことで効果を発揮します。
同様に、点鼻薬は鼻の穴(鼻腔)に噴霧することで効果を発揮する薬剤です。
花粉が目に付着すると、結膜に炎症を生じてかゆみを起こすことがあります。
抗ヒスタミン作用のある内服薬(飲み薬)のみで効果が乏しい場合は、以下のような点眼薬(目薬)の使用を検討します。
内服薬との併用も可能です。
パタノール®(一般名: オロパタジン塩酸塩)は抗ヒスタミン作用を有する点眼薬です。
抗ヒスタミン薬の内服薬であるアレロック®と主成分が同一であり、花粉症による目のかゆみに対して効果が期待できます。
使用法は、1回1〜2滴を1日4回(朝、昼、夕方、就寝前)点眼します。
注意点として、本剤に含まれる成分であるベンザルコニウム塩化物が、ソフトコンタクトレンズに吸着されることがあるため、コンタクトを装用したままでの点眼はできません。
コンタクト装用中に点眼を行う場合は、一度コンタクトをはずし、点眼後10分以上経ってから再度装用します。
アレジオン®(一般名: エピナスチン塩酸塩)点眼液はパタノール®と同様、抗ヒスタミン作用を有する点眼薬です。
使用法は、1回1滴を1日4回(朝、昼、夕方、就寝前)点眼します。
パタノール®点眼液と異なり、コンタクトを装用したままでも点眼可能です。
アレジオン®LX点眼液は2019年に発売開始となった比較的新しい点眼薬です。
アレジオン®点眼液の2倍の濃度であることから効果の持続時間も延長しており、使用法は1回1滴を1日2回(朝、夕)点眼です。
コンタクト装用中の点眼も可能です。
点鼻薬はその名の通り鼻腔に噴霧する薬剤で、主に以下のような薬剤が処方されます。
アラミスト®(一般名: フルチカゾンフランカルボン酸エステル)はステロイドの点鼻薬で、アレルギー性鼻炎に適応があります。
噴霧された薬剤がミスト(細かい霧)状になるため液だれが少ないこと、小児でも使用できることが特徴です。
初回の使用前にはよく容器を振り、空打ち(レバーをしっかり6回押し、霧状に噴霧されることを確認する)の必要があります。
用法・用量は以下の通りです。
アラミスト®点鼻液 27.5μg 56噴霧用/120噴霧用 | |
成人 | 1回各鼻腔に2噴霧 1日1回 |
小児 | 1回各鼻腔に1噴霧 1日1回 |
ナゾネックス®(一般名: モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物)はアラミスト®と同様ステロイドの点鼻薬で、小児でも使用可能ですが、使用量が年齢により異なります。
また、初回は10回程度空打ちを行い、液が完全に霧状になることを確認してから使用する必要があります。
ナゾネックス®点鼻液 50μg 56噴霧用/112噴霧用 | |
成人 | 1回各鼻腔に2噴霧 1日1回 |
小児 | 12歳以上: 1回各鼻腔に2噴霧 1日1回 12歳未満: 1回各鼻腔に1噴霧 1日1回 |
エリザス®(一般名: デキサメタゾンシベシル酸エステル)もステロイドの点鼻薬ですが、アラミスト®やナゾネックス®とは異なり、粉末状の薬剤となっています。
また、塩化ベンザルコニウムなどの添加剤を含まず、他の薬剤と比較して鼻の粘膜に対する刺激が少ないという特徴があります。
初回使用前に空打ちの必要はありませんが、1噴霧に使用する粉末量を調整するため、使用時には
①容器のノズルを回す
②容器をトントンする(薬の充填)
③ノズルを戻す
④ポンプ部分を2〜3回押す(=1噴霧)
という手順が必要です。
小児への適応はありません。
エリザス点鼻粉末 200μg 28噴霧用 | |
成人 | 1回各鼻腔に1噴霧 1日1回 |
アレサガ®(一般名: エメダスチンフマル酸塩)テープは2018年に発売された貼付剤で、他の薬剤とは異なり体に貼ることで効果を発揮します。
他の病気で内服薬が数多くある方や、何らかの理由で薬の内服が困難な方などでは、良い適応と考えられます。
注意点として、抗ヒスタミン薬であるため眠気を催すことがあること(自動車の運転等危険を伴う機械の操作はできません)、一般的な抗ヒスタミン作用を持つ内服薬と異なり、蕁麻疹や湿疹への適応はなく花粉症を含む「アレルギー性鼻炎」にのみ使用可能であること、皮膚に直接貼り付けるため、かぶれを生じる可能性があることが挙げられます。
小児への適応はなく、用法・用量は以下のようになっています。
アレサガ®テープ 4mg | |
成人 | 1回4mgを胸部、上腕部、 背部または腹部のいずれかに貼付し 24時間ごとに貼り替える 症状に応じて1回8mgに増量可能 |
以上、花粉症に対して使用されることの多い代表的な点眼薬・点鼻薬について解説しました。
花粉症の中でも特に目や鼻の症状が辛い方は、これらの薬剤を上手に活用することで、症状を和らげることが可能です。
ここまでお読みいただきありがとうございました。