【皮膚科の塗り薬】軟膏、クリーム、ローションの違いは?【皮膚科医が解説】

目次

はじめに

皮膚科で処方される外用薬(塗り薬)の中には同じ名前でもタイプが異なるものがいくつか存在しており、それぞれに特徴があります。

例: アンテベート®軟膏、アンテベート®クリーム、アンテベート®ローション

今回はそれらの違いについて1つずつ解説していきます。

①軟膏

主にワセリンなどの油脂性の成分がベースとなり(これを基剤と呼びます)、その中に有効成分が溶け込んでいるものを指します。例えばアンテベート®軟膏の成分は以下のようになっています。

製品名アンテベート軟膏0.05%
有効成分(1g中)ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル0.5mg (0.05%)
添加剤スクワラン、ゲル化炭化水素、パラフィン、白色ワセリン
アンテベート軟膏の成分表示

このうち「パラフィン」や「白色ワセリン」が、油脂性の基剤です。

軟膏の最大のメリットとして、どのような状態の皮膚にも適応があることが挙げられます。

例えば乾燥したり、ひび割れた皮膚はもちろん、傷があったり、じゅくじゅくしている、水ぶくれがあるといった、さまざまな状態の皮膚に塗ることができ、効果を発揮します。

一方で、デメリットとしては、ベタつきが強いことで、特に夏などは使いづらく感じることがあります。

ステロイドなどの有効成分が含まれていない保湿剤のワセリンやプロペトなども、軟膏に属しています。

②クリーム

クリームの基剤は水性成分の入っていない軟膏と異なり、油と水が乳化によってバランス良く混ざり合ってできています。

クリームはさらに、油の中に水性成分が分散している油中水型(W/O型)と水の中に油性成分が分散している水中油型(O/W型、バニシングクリームとも呼ばれる)の2つのタイプに分かれます。

どちらのクリームも軟膏と比較するとベタつきが少なく、伸びも良いことから使用感に優れますが、その中でもO/W型の方が水性成分が多く、よりサラサラとしています。

また、水で簡単に洗い流せるというメリットもあります。

一方、デメリットとして、傷ができている部位や、じゅくじゅくしている部位に塗ると刺激を感じることがあります。

このような部位には軟膏のほうが適しています。

塗り薬の中には、製品名に「軟膏」とついていても、実はクリームに分類されるものがあります。

例えばヒルドイド®ソフト軟膏は軟膏ではなくW/O型のクリームです。ヒルドイド®クリームはO/W型のクリームですので、実際にはどちらも「クリーム」ですが、後者の方がよりサラサラしている、ということになります。

③ローション

ローションは液状の塗り薬で、基剤の多くが水性成分からなっており、その中に有効成分が溶け込んでいるものを指します。

クリームよりもさらに使用感は良く、頭皮をはじめ有毛部(毛の生えているところ)に塗りやすいタイプです。

また、気化しやすい(乾きやすい)ため、汗をかいたり、蒸れやすい部位にも良い適応があります。

しかしながら、クリームと同様、傷やじゅくじゅくしている部位に塗ると刺激を感じることがデメリットです。

ローションタイプのステロイド外用薬にはアルコール(イソプロパノール)が添加されているものがあり、これにより刺激を生じることもあります。

この場合、アルコールを含まない製品もありますので、そちらに変更してみるのも1つの方法です。

軟膏、クリーム、ローションのまとめ

軟膏、クリーム、ローションの違いについて表にまとめました。

スクロールできます

軟膏

クリーム

ローション
基剤油脂性油+水
(W/O型、O/W型)
主に水性
使用感ベタつきありサラサラサラサラ
刺激性少ないありあり
適応広い傷、じゅくじゅく
などに不適
傷、じゅくじゅく
などに不適
塗り薬の比較

皮膚科で使用する塗り薬の中には、上記の軟膏、クリーム、ローション以外にもゲルやスプレー、フォーム(泡)など様々なタイプの製品が存在しています。

使用する部位や皮膚の状態、生活スタイルなどによって使い分けができますので、皮膚のことでお困りの際は当院にご相談ください。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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