【スキンケアの基本】保湿剤の重要性と正しい選び方【皮膚科専門医が解説】

乾燥肌や敏感肌、アトピー性皮膚炎など、肌トラブルを抱える方にとって、保湿剤は欠かせないスキンケアアイテムです。しかし、一口に保湿剤といっても様々な種類があり、どれを選べばよいのか迷うことも多いでしょう。今回は、保湿剤の重要性や選び方、正しい使い方について解説します。


目次

保湿剤の役割と特徴

保湿剤は、肌の水分を保持し、バリア機能をサポートすることで、乾燥や外部刺激から肌を守る役割を果たしています。また、肌の保湿により炎症や荒れた肌を鎮め、健康な皮膚環境を整えるサポートをします。

保湿剤には、クリーム、ローション、軟膏(バーム)など、さまざまな形状があります。それぞれの特徴を理解し、自分の肌質や状態に合ったものを選ぶことが大切です。

  • クリーム:油分が多く保湿効果が高いため、特に冬の乾燥する時期にしっかりと潤いを与えることができます。
  • ローション:水分が多く、軽いテクスチャーが特徴。顔首まわりや、夏場の使用に適しています。
  • 軟膏(バーム):特に乾燥がひどい部位や唇、踵などのケアに最適。密封効果が高く、保湿力が持続します。また、他のタイプの保湿剤と比較して刺激が少ないため、荒れてしまった肌や、傷、ひび割れのある部位にも使用できます。

また、上記の他にフォーム(泡)タイプや、スプレータイプの製品もあり、症状やライフスタイルによって使い分けることができます(例:忙しい朝は塗りやすいローションやフォーム、しっかり保湿したい夜はクリームや軟膏など)。


モイスチャライザーとエモリエントの違い

上記のようなタイプ分けの他に、保湿剤には「モイスチャライザー」と「エモリエント」というカテゴリがあります。それぞれの特徴や役割を理解することで、より、適切な製品選びが可能になります。

  • モイスチャライザー
    • 主な役割は角質の水分量を増加させ、保持すること。
    • 具体的な成分例:ヘパリン類似物質、グリセリン、尿素、プロピレングリコールなど。
  • エモリエント(柔軟剤)
    • 主な役割は肌表面の保護と水分蒸発の防止。油分が中心で、肌の表面に保護膜をつくる。
    • 成分例:ワセリン、セラミド、ラノリン、シアバターなど。

モイスチャライザーは主に肌内部の水分量を増やすのに役立ち、エモリエントはその水分を逃がさないようにする役割を果たします。この2つを組み合わせて使用することで、より効果的な保湿ケアが可能です。


正しい保湿剤の使い方

保湿剤を効果的に使用するためには、以下のポイントを押さえておきましょう。

  1. 適切なタイミングで使用する:朝晩の2回を基本とし、必要に応じて乾燥を感じたときに追加で塗布するようにしてください。特に洗顔や入浴後、肌が乾燥する前に保湿剤を塗ることで、より効果的に水分を閉じ込めることができます。
  2. 適量を守る:軟膏やクリームの場合、人差し指の先端からひとつ目の関節まで伸ばした量(約0.5g)が成人の両手の面積に塗る量の目安となります。また、ローションの場合は手のひらに1円玉大の大きさに出した量(約0.5g)が目安となります。
  3. 優しくなじませる:手を清潔にして、力を入れず、手のひらや指先で優しく肌に広げます。お子様の肌に塗る際には、首や太ももの付け根など、くびれた部分に塗り残しがないようにしましょう。

まとめ

保湿剤は、肌の健康を保つための基本的なスキンケアアイテムです。自分の肌質や状態に合った製品を選び、正しく使用することで、乾燥や肌トラブルを効果的に防ぐことができます。肌に合わない保湿剤を使い続けると逆効果になることもあるため、迷ったときは皮膚科医に相談することをおすすめします。

当院では、受診される方一人ひとりの肌質やライフスタイルに合った保湿のアドバイスを行っています。ぜひお気軽にご相談ください。

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