爪周囲炎

爪周囲炎の症状

爪周囲炎は、「化膿性爪囲炎」や「ひょう疽」とも呼ばれ、爪周囲の皮膚に細菌が感染することによって生じます。

爪周囲炎を発症すると、数日の経過で爪の周りが赤く腫れ、強い痛みや熱感を伴います。

通常、感染は爪の周囲に留まりますが、特に糖尿病の方や免疫抑制状態の方などでは重症化し、骨や筋肉に影響が及ぶこともあるので注意が必要です。

爪周囲炎の原因

爪周囲炎の原因は細菌感染であり、主に黄色ブドウ球菌やレンサ球菌などの皮膚常在菌(普段から存在している菌)によるものです。

これらの菌は通常は人体に害を及ぼさないものの、皮膚表面の小さな傷から侵入して感染が成立すると、その部位に炎症を生じ、皮膚の赤みや腫れに加えて、皮下に膿の貯留がみられるようになります。

「爪の横のささくれを取ったら翌日から指が腫れてきた」などは爪周囲炎の典型的な経過であり、手荒れや怪我などで爪の周囲に小さな傷ができることが発症のリスクといえます。

爪周囲炎の治療

爪周囲炎に対しては、主に①抗菌薬(抗生物質)の投与と、②膿が溜まっている部位の切開・排膿による治療を行います。

①抗菌薬(抗生物質)

症状がそれほど強くない場合には、外用薬(塗り薬)のみで対応することもありますが、通常は早期の治癒を目標として内服薬(飲み薬)が処方されます。

膿が採取できる場合は、原因となっている細菌の種類や感受性(どの種類の抗菌薬が効果が高いか)を調べるため、培養検査を行うこともあります。

特に抗菌薬による治療の開始後も症状が改善しない場合は、特定の抗菌薬が効かない「耐性菌」による感染の可能性も考慮し、抗菌薬の変更を検討します。

②切開・排膿

皮下に膿が溜まっている状態では抗菌薬の効果が低下するため、症状によっては皮膚の切開・排膿が効果的です。

膿が排出されると、腫れや痛みといった症状については比較的速やかに改善が期待できます。

細菌性以外の爪周囲炎について

上記のような細菌感染以外にも、カンジダ(真菌)やヘルペス(ウイルス)といった感染症によって爪の周囲が赤く腫れ、痛みを伴うことがあります。

このような場合も、適切な薬剤を用いた治療が必要となります。

爪周囲炎と診断されたら

■爪の周囲を毎日シャワーで洗浄することで清潔を保ちましょう。

■処方された塗り薬を患部に外用し、ガーゼ等で保護してください。

■痛みや腫れが強くなったり、膿の貯留がみられた場合は、治療中でも一度ご相談ください。