脂漏性角化症

脂漏性角化症とは

脂漏性角化症しろうせいかくかしょうは、主に顔面や首周り、背中、胸などに生じる加齢性の皮膚腫瘍(できもの)です。

ときに似たような見た目を呈する尋常性疣贅(ウイルス性イボ)とは異なり、感染することはありませんが、年齢とともに増え、80代以上ではほぼすべての人にみられるとされています。

特に顔面ではシミ(老人性色素斑、日光黒子)から進展する例が多く、「シミが気になって」と受診される方の症状が、実は脂漏性角化症であるということも珍しくありません。

脂漏性角化症の原因

脂漏性角化症の明らかな発症原因は不明です。

同じ年齢でもほとんどできない人と多発する人がおり、遺伝的な体質も影響していると考えられています。

脂漏性角化症の診断

脂漏性角化症は、ダーモスコピーと呼ばれる拡大鏡を用いて観察すると以下のような特徴があり、比較的容易に肉眼での診断が可能です。

【脂漏性角化症の特徴】

・milia-like cysts(稗粒腫様嚢腫)

・cerebriform pattern(脳回転様外観)

・comedo-like openings(面皰様開口)

・fat fingers(太い指様構造) など

ダーモスコピー検査は保険適用となります。

ただし、一部の脂漏性角化症では、非典型的な見た目を呈していたり、他の疾患と区別がつきにくいことがありますので、そのような場合は皮膚生検(組織検査)や切除を行い診断を確定させます。

脂漏性角化症の治療

①液体窒素療法

低温の液体窒素を用いて皮膚表面の脂漏性角化症を直接冷却し、凍結させて治療します。治療後の一般的な反応として赤みやひりつきがありますが、非常に簡便な方法です。その一方で、デメリットとしては通常複数回の治療を要すること(1〜2週おきの治療を推奨しております)が挙げられます。大きなものですと特に長くかかる傾向にありますので、ご希望に応じて以下の治療のいずれかも提案させていただきます。

②切除(手術療法)

特に背中や足など目立たない部位で、単発(1つのみ)の脂漏性角化症には考慮して良い方法です。

また、前述のように診断がはっきりしない場合も、組織検査を行い確定診断できる点がメリットです。

通常、手術翌日の傷のチェックおよび処置方法の説明と、1〜2週間後の抜糸のタイミングで再診していただく必要があります。

③CO2レーザー

CO2(炭酸ガス)レーザーを使用して脂漏性角化症を削り、平らにする方法です。

顔面や頚部に多発する小さな脂漏性角化症に特に適しており、自費診療にはなりますが、個数や大きさによっては一度に全ての腫瘍を除去することも可能です。

術後は1〜2週間ほどの軟膏もしくは貼付剤による処置を行います。

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