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白斑(英: leukoderma)とは、皮膚の色を構成するメラニン色素の完全消失により、皮膚に白色の斑を呈するものをいいます。
大きく先天性と後天性に分けられ、先天性の代表疾患である眼皮膚白皮症(oculocutaneous albinism: OCA)は皮膚以外に頭髪や眼の色素減少を認めますが、日本人では稀とされています。
こちらでは後天性の白斑の代表例である尋常性白斑について、その症状と主な治療法を解説します。
後天性の色素脱失症の中で最も多いのは尋常性白斑で、色素脱失を呈する疾患の約6割を占めます。
尋常性白斑は、その皮膚症状の分布から、全身性・対称性に生じる非分節型と、皮膚分節(脊髄神経が支配する皮膚感覚の領域)に一致して片側性に生じる分節型に分けることができます。
【尋常性白斑/非分節型と分節型】
非分節型 | 分節型 | |
---|---|---|
症状 | 皮膚分節に関係なく 白斑を生じる 形状も様々 | 皮膚分節に一致して 白斑を生じる |
好発年齢 | 全年齢 | 若年者 |
進行 | 慢性の経過 | 比較的短期間で拡大 |
分布 | 対称性 顔面、体幹、四肢など | 片側性 顔面に好発 |
また、これらの分類とは別に、症状が皮膚の一部に限定して生じるものを限局型、全身に広がるものを汎発型と分けて呼ぶこともあります。
尋常性白斑の原因は、未だに明らかになってはいません。
全身に白斑が広がる例(汎発型)では、甲状腺機能亢進症やAddison(アジソン)病といった、自己免疫疾患の合併を認めることもあり、メラノサイト(メラニン色素をつくる細胞)に対する自己免疫説や、神経伝達物質によるメラノサイト傷害説などが提唱されています。
尋常性白斑の治療は、一般的に日本皮膚科学会の「尋常性白斑診療ガイドライン」に則って行われます。
ステロイドの塗り薬(外用薬)は尋常性白斑の治療として最も広く行われており、白斑の面積が体表全体の10〜20%以下の場合は第一選択になり得ます。
ただし、ステロイド外用薬の長期的な副作用(毛細血管拡張や皮膚萎縮など)に注意して使用する必要があり、効果が乏しい場合には他の治療への変更を検討します。
また、汎発型ではやや推奨度が落ちます。
タクロリムス(プロトピック®)に関しては海外で尋常性白斑に有効であったとする論文が多数みられており、本邦の施設においても使用されています。
白斑に対しては保険適応がないこと、長期的なデータが乏しいことに注意が必要です。
白斑に対して、紫外線療法により色素増強がみられた報告が多数あるため、導入している施設においては主にNB-UVB(ナローバンドUVB)やエキシマライトといった、特定の波長をもつ紫外線を利用した治療が検討されます。
一般的な副作用として、紫外線による赤み(紅斑)やひりつき、水ぶくれ(水疱)、正常部位の色素沈着を生じることがあります。
以下の記事では、白斑の治療についてさらに詳細に解説していますので、興味のある方はぜひご覧ください。