【デュピクセント®】結節性痒疹の治療に使用可能となりました【皮膚科専門医が解説】

目次

はじめに: 結節性痒疹とは

結節性痒疹けっせつせいようしんは、強いかゆみを伴うぶつぶつ(丘疹)やしこり(結節)が多発する「痒疹」のうち、慢性に経過するタイプの疾患であり、再発・寛解かんかい(落ち着くこと)を繰り返すのが特徴です。

現在、治療としてはステロイドの外用薬(塗り薬)やテープ剤、かゆみに対する抗ヒスタミン薬の内服などが一般的に用いられていますが、2023年6月より、アトピー性皮膚炎の治療薬であったデュピクセント®(商品名: デュピルマブ®)が結節性痒疹の治療にも使用可能となりました。

デュピクセント®とは

デュピクセント®(一般名: デュピルマブ)はIL-4、IL-13という2つのサイトカイン(※)の働きをブロックすることで、アトピー性皮膚炎や結節性痒疹の皮膚症状、かゆみを抑える効果があります。

(※サイトカイン: 体内で細胞間の情報伝達を行うタンパク質)

結節性痒疹の治療適用に先立って行われた臨床試験では、以下のような有効性が認められました。

【PRIME試験】

対象: 外用薬では症状のコントロールが不十分であったり、何らかの理由で外用薬の使用が推奨されない18歳以上の結節性痒疹患者

■60.0%の被験者がかゆみのスコアWI-NRSにおいて、投与24週時で週平均4点以上の改善を達成

■投与24週時でかゆみのスコアWI-NRSがベースライン(開始時の値)から48.9%低下

■48.0%の被験者の皮膚病変が投与24週時で「消失」または「ほぼ消失」まで改善

*WI-NRS(Worst Itch – Numerical Rating Scale)は、患者評価によるかゆみの重症度についての指標で、過去24時間での最悪のかゆみの強さを、0(かゆみなし)から10(想像しうる最悪のかゆみ)の間の数値で患者さん自身が評価するものです。

すなわち、10→6、8→4などが、「WI-NRSで4点の改善」ということになります。

デュピクセント®を使える方、使えない方

デュピクセント®は、皮膚科では以下の方が使用可能です。

既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎または結節性痒疹の方

以下の方は、使用できません。

本剤の成分に対してアレルギーのある方

具体的な条件、使用の可否に関しては、受診の上でご相談が必要となります。

デュピクセント®の使用方法

デュピクセント®にはシリンジ型、ペン型の製剤があり、いずれも1本300mgとなっています。

投与開始時には600mg(2本)を皮下注射し、その後、2週間に1回300mg(1本)を皮下注射します。

また、病院やクリニックで複数回の指導を受けた後は、ご自宅で自己注射することも可能です。

デュピクセント®の副作用

デュピクセント®では重篤な副作用はほとんど報告されていませんが、特徴的な副作用として結膜炎があり、眼科への受診が必要となる場合があります。

デュピクセント®使用中に目やまぶたのかゆみ、腫れ、赤みなどを自覚した際は速やかに医師に相談しましょう。

その他、注射部位反応(注射をした部位の皮膚の赤みやかゆみ)などが報告されています。

デュピクセント®の費用

2023年7月現在、デュピクセント®はシリンジ型が1本58,593円(3割負担で17,578円)、ペン型が1本58,775円(3割負担で17,633円)です。2週間に1本ずつの投与なので、1か月あたりの薬剤費は通常その2倍となります。

また、初回は2本投与のため、治療を開始した月は、通常3本分の薬剤費がかかることになります。

高額療養費制度をはじめ、医療費に関しては様々な助成制度がありますので、以下のサイトなども参考にしてください。

デュピクセント®高額療養費シミュレーション: https://www.support-allergy.com/payment

最後に

結節性痒疹は慢性的に経過し、かゆみによる日常生活への影響(睡眠障害、労働生産性の低下など)も少なくありません。

今回、デュピクセント®が新たな治療薬として認可されたことは疾患に悩む方々にとって大変喜ばしいことと考えられます。

当院でも導入が可能になり次第、お知らせいたします。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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