炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)

炭酸ガスレーザーとは

炭酸ガスレーザー(CO2レーザー)とは、体内の水分に吸収される特徴を持つレーザーをイボやほくろなどに照射し、病変を除去する治療法です。

炭酸ガスレーザーを皮膚表面に照射すると、皮膚に含まれる水分にレーザーが吸収され、レーザーの光エネルギーが熱エネルギーに変換されます。

この熱エネルギーの働きにより、イボやほくろなどの皮膚のできものを蒸散させ、「削り取る」ことが可能です。

炭酸ガスレーザーの適応疾患

炭酸ガスレーザーは、下記のような疾患に対して適応があります。

  • 脂漏性角化症(老人性イボ)
  • ほくろ(比較的小型のもの)
  • 汗管腫
  • 眼瞼黄色腫
  • 脂腺増殖症
  • 毛細血管拡張性肉芽腫
  • 稗粒腫など

炭酸ガスレーザーの特徴

炭酸ガスレーザーによる治療には、以下のような特徴があります。

①出血が少ない

炭酸ガスレーザーの施術中は、熱エネルギーにより蒸散と同時に凝固作用が働くため、周辺の血管が瞬時に固まり、一般的な手術と比べて出血が少ないというメリットがあります。

②施術時間が短い

病変の大きさにもよりますが、1か所の治療にかかる時間は数分程度です。

麻酔の時間を考慮しても、通常30分以内には治療が終了します。

③周辺の皮膚へのダメージが少ない

短時間・ピンポイントにレーザーを照射するため、周囲の皮膚や、真皮に対してのダメージが少ないという特徴があります。

炭酸ガスレーザーの治療の流れ

①診察・説明

担当医が、炭酸ガスレーザーの適応について診察します。

治療についての説明ののちに、同意書をご記入いただきます。

②治療部位の確認・麻酔

治療部位の最終確認と、注射での局所麻酔を行います。

*塗るタイプの局所麻酔も選択可能です(別料金)。

③施術

皮膚の状態(イボやほくろなどの大きさ、深さ)に応じて、照射時間・範囲を調整しながらレーザーの照射を行います。

炭酸ガスレーザー治療後のケア

レーザー治療後は、瘢痕化・色素沈着などの合併症を予防する目的で、1〜2週間は皮膚が乾燥しないように軟膏もしくは創傷被覆剤での保護を継続します。

皮膚が再生(上皮化)した後も、3ヶ月〜半年程度は日焼け止めなどによる紫外線対策が必要です。

炭酸ガスレーザーの注意点・合併症

炭酸ガスレーザーでの治療における主な注意点・合併症は以下の通りです。

術後の瘢痕化・色素沈着

前述のように、蒸散した皮膚が再生(上皮化)する際、瘢痕や色素沈着を伴うことがあります。

また、ほくろなどを深い部位まで治療した場合には、ニキビ跡のような「凹み」が生じる可能性があります。

再発の可能性

蒸散の程度によっては、術後にイボやほくろの再発をきたすことがあります。

炭酸ガスレーザーでの治療を受けるにあたってのポイント

炭酸ガスレーザーでの治療を受けるにあたっては、以下の2つの理由から、「トレーニングを積んだ皮膚科専門医」が治療を行うクリニックでのご相談をお勧めいたします。

理由①施術前に正確な診断をつける必要がある

通常の手術であれば、切除した組織を病理検査に提出することで確定診断をつけることが可能ですが、炭酸ガスレーザーは組織を蒸散させるため、病理検査を行うことができません。

ご本人は普通のほくろだと思っていたものが、皮膚科で診察すると実は皮膚がんであったというケースもありますので、レーザーを照射する対象が良性か悪性か、術前に確実に診断をつけることが求められます。

理由②イボやほくろの種類に応じて、レーザーを照射する適切な角度や深さが異なる

炭酸ガスレーザーは、一見「組織を削り取るだけ」に思われがちですが、例えばイボとほくろではその立体構造が異なるため、当然照射の方法も変える必要があります。

それぞれの組織の立体構造を理解するには、皮膚病理学に関する十分な知識と経験が求められますが、皮膚科専門医の資格はその証明とも言えます。

最後に

当院では、皮膚科専門医である院長が炭酸ガスレーザー施術を担当いたします。

イボ・ほくろなどのできものに関してお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。