尖圭コンジローマとその治療法【皮膚科専門医が解説】

目次

はじめに: 尖圭コンジローマとは

尖圭せんけいコンジローマは、主に性器や肛門周囲に生じるヒトパピローマウイルス(human papilloma virus: HPV)の感染症です。

HPVには200種類以上の遺伝子型(タイプ)が存在していますが、尖圭コンジローマはその中でも6型あるいは11型と呼ばれるタイプのウイルスが原因となります。

尖圭コンジローマの感染経路

尖圭コンジローマは主に性行為で感染する、性感染症(sexually transmitted diseases: STD)の一種です。

そのため、男女を問わず発症し、発症年齢のピークは10代後半〜30代となっています。

ここ10年で、国内の感染者数は概ね一定で推移しているものの、男性では増加傾向がみられ(参考: 厚生労働省「年齢(5歳階級)別にみた性感染症(STD)報告数の年次推移」)、病院を受診していない人も含めると実際の患者数はさらに多いと考えられます。

尖圭コンジローマの症状

尖圭コンジローマに感染すると、2〜3か月の潜伏期(明らかな症状が現れない時期)を経て、性器や肛門の周囲に細かいブツブツが出現し、ときに「鶏冠とさか状」「カリフラワー様」と称されるような大きく隆起した状態となります。

色調は一定ではなく、白やピンク、黒みがかっているものなどさまざまです。

通常自覚症状はありませんが、尖圭コンジローマの病変の大きさや、できる部位によってはかゆみや痛みを生じることがあります。

治療せずに放置していると、最初に感染した部位の周囲に次々と広がることもあるため、早期発見・治療が重要です。

尖圭コンジローマの診断

出現している部位や皮膚症状から一般的には肉眼的に(見た目で)診断可能ですが、以下に示すように似ている病気がいくつかあるため、診断を確定させる目的で組織検査を行う場合もあります。

① Bowen様丘疹症

Bowenボーエン丘疹きゅうしん症は尖圭コンジローマと同様、主に性器や肛門周囲に生じるHPVの感染症ですが、原因となるHPVが16型や18型など、がん化しやすい(ハイリスク群)タイプであることが特徴です。

子宮頸がんの原因となるHPVと同一のタイプでもあるため、女性にBowen様丘疹症を認めた場合、子宮頸部への感染がないか、産婦人科で確認することが望まれます。

② 真珠様陰茎小丘疹(pearly penile papule)

真珠様陰茎小丘疹は男性の亀頭辺縁に生じる小さな白いブツブツで、尖圭コンジローマと混同されやすい疾患の代表例です。

海外の報告では男性全体の8〜43%にみられるとされ、病気ではないので治療の必要はありません。

見た目だけで尖圭コンジローマと完全に区別することは難しいものの、亀頭辺縁のみに規則正しく配列しているもの、1つ1つのブツブツの大きさが揃っているものは真珠様陰茎小丘疹の可能性が高くなります。

③ 膣前庭乳頭症(vestibular papillae of the vulva)

こちらは女性の外陰部(小陰唇内側)に生じる小さいブツブツであり、発症原因として生理周期や女性ホルモンとの関連が示唆されています。

真珠様陰茎小丘疹と同様、病気ではないため治療せず経過をみます。

④ フォアダイス

男女問わず、正常構造である皮脂腺に皮脂が溜まると、性器周囲の皮膚の下に透けて白く見えることがあります。

これはフォアダイスと呼ばれ、治療の必要はありません。

尖圭コンジローマの治療

上記のような疾患を鑑別し、尖圭コンジローマの診断に至った場合には、以下のような治療を行います。

① 液体窒素療法

もっとも一般的な治療法であり、ほとんどの皮膚科クリニックで実施可能です。

液体窒素に浸した綿棒を直接尖圭コンジローマの病変に当てる方法と、液体窒素のスプレーを病変に向けて噴射する方法があります。

通常は複数回の通院が必要で、おおよそ1〜2週間に1回のペースで治療を行います。

② ベセルナ®クリーム

ベセルナ®(一般名: イミキモド)クリームは、皮膚の中にいる免疫関連細胞を刺激し、炎症を起こす作用のある外用薬(塗り薬)です。

尖圭コンジローマの原因となるHPVの増殖を抑え、さらにはHPVが感染している細胞を攻撃することで、効果を発揮すると考えられています。

使用方法は尖圭コンジローマがある部位(適応は外性器と肛門周囲の病変に限られます)に適量を1日1回、週3回、就寝前に塗布します。

具体的な治療日としては、例えば月・水・金や火・木・土などの組み合わせが考えられます。

塗布後はそのままの状態を保ち、起床後に塗布した薬剤を石鹸を用いて、水または温水で洗い流して1回の治療が終了します。

治療期間は原則として16週間までとなっています。

ベセルナ®クリーム外用中は皮膚に炎症を生じやすく、薬剤を塗った部位に赤みやただれ、痛みが出現することがあります。

強いかゆみや痛みを自覚した際は、使用の中止・中断も含めて主治医に相談しましょう。

③ 外科的治療

尖圭コンジローマに対して、手術やCO2レーザーによる蒸散、電気メスでの焼灼などを行う場合があります。

巨大なもの、多発しているものを除き、一般的には局所麻酔・日帰りでの治療が可能です。

1回で治療が終了することがメリットですが、再発する可能性もあるため、手術後も経過を確認していく必要があります。

治療のまとめ

尖圭コンジローマの治療について、以下の表にまとめました。

スクロールできます
液体窒素療法外用薬
(ベセルナ®クリーム)
手術
メリット①ほとんどの
皮膚科で
実施可能
自宅で
治療可能
小さいものであれば
1回で治療が終了
メリット②1回の治療は
短時間で終了
組織検査で
確定診断が
可能
デメリット①複数回の
通院が必要
赤みやびらん
痛みなどが
生じやすい
大きさ・部位に
よっては
入院が必要
デメリット②治療後に
痛みや水ぶくれが
生じることあり
術後出血・
再発などの
リスクあり
各治療法の比較

最後に

尖圭コンジローマについては以上です。

当院でも液体窒素やベセルナ®クリームを用いた治療が可能です(手術に関しては高次医療機関へご紹介となる可能性がありますのでご了承ください)ので、「尖圭コンジローマにかかっているかも」と思われた方は、どうぞお気軽にご相談ください。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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