アトピー性皮膚炎の新規治療薬: 注射薬編【デュピクセント®/ミチーガ®】

目次

はじめに

今回はアトピー性皮膚炎の新規治療薬の中でも注射薬について解説します。

2018年にデュピクセント®が、2022年にミチーガ®が発売され、中等症以上のアトピー性皮膚炎に対する治療として効果を発揮しています。

同じ注射薬でも両者は作用や注意点が異なりますので、詳しくみていきましょう。

デュピクセント®

概要

デュピクセント®(一般名: デュピルマブ)はIL-4、IL-13という2つのサイトカイン(※)の働きをブロックすることで、アトピー性皮膚炎の皮膚症状、かゆみを抑える効果があります。

(※サイトカイン: 体内で細胞間の情報伝達を行うタンパク質)

アトピー性皮膚炎以外では、喘息や慢性副鼻腔炎の治療にも使用することがあります。

投与方法は皮下注射で、投与開始日は2本、その後は2週間おきに1本の投与となります。

腹部(へその周囲5cmをのぞく)、二の腕の外側、太ももが注射に適した部位となっています。

また、病院やクリニックで複数回の指導を受けた後は、ご自宅で自己注射することも可能です。

通常のシリンジ型に加え、2020年には皮膚に押し付けるだけで投与できるペン型の製剤も発売され、より便利になっています。

デュピクセント®を使える方、使えない方

デュピクセント®を使用する場合は、以下の条件を満たすことが求められています。

1. アトピー性皮膚炎と確定診断されていること。

2. 直近の6か月以上外用薬(塗り薬)による適切な治療を行なっても十分な治療効果が得られず、以下のいずれにも該当する状態であること。

・IGAスコア 3以上

・EASIスコア 16以上、または顔面の広範囲に強い炎症を伴う皮疹を有する場合

(目安として頭頸部の EASIスコアが 2.4 以上)

・体表面積に占めるアトピー性皮膚炎病変の割合 10%以上

(日本皮膚科学会 アトピー性皮膚炎におけるヤヌスキナーゼ(JAK)阻害内服薬の使用ガイダンスより)

IGAスコア、EASIスコアはともにアトピー性皮膚炎の重症度を示し、IGAスコア3、EASIスコア16はおおむね中等症に該当します。

すなわち、アトピー性皮膚炎ではない方、直近6か月間に塗り薬による適切な治療を行なっていない方、軽症の方などはデュピクセント®を使用することができません。

また、薬剤の成分に対してアレルギー反応を起こしたことのある方も使用不可となっています。

副作用

デュピクセント®では重篤な副作用はほとんど報告されていませんが、特徴的な副作用として結膜炎があり、眼科への受診が必要となる場合があります。

デュピクセント®使用中に目やまぶたのかゆみ、腫れ、赤みなどを自覚した際は速やかに医師に相談しましょう。

その他、注射部位反応(注射をした部位の皮膚の赤みやかゆみ)などが報告されています。

費用

2024年4月現在、デュピクセント®はシリンジ型が1本61,523円(3割負担で18,457円)、ペン型が1本61,714円(3割負担で18,514円)です。2週間に1本ずつの投与なので、1か月あたりの薬剤費は通常その2倍となります。

また、初回は2本投与のため、治療を開始した月は、通常3本分の薬剤費がかかることになります。

高額療養費制度をはじめ、医療費に関しては様々な助成制度がありますので、以下のサイトなども参考にしてください。

デュピクセント®高額療養費シミュレーション: https://www.support-allergy.com/payment

ミチーガ®

概要

ミチーガ®(一般名: ネモリズマブ)は2022年に発売された注射薬で、IL-31というサイトカインの働きをブロックする効果があります。

IL-31はアトピー性皮膚炎の症状の中でも特に「かゆみ」に関連しており、ミチーガ®は今までの飲み薬や注射薬とは異なる方向から、かゆみを抑制する効果が期待されています。

投与方法は皮下注射で、1回1本、4週間に1回の投与を行います。

2023年1月時点で、自己注射は認められていないため、病院やクリニックに通院し、投与する必要があります。

ミチーガ®を使える方、使えない方

ミチーガ®を使用する場合は、以下の条件を満たすことが求められています。

なお、デュピクセント®を投与できる年齢は生後6ヶ月以上ですが、ミチーガ®は13歳以上で投与可能です。

1. アトピー性皮膚炎と確定診断されていること。

2. 直近の4週間以上外用薬(塗り薬)、かつ2週間以上内服薬(飲み薬)による適切な治療を行なってもアトピー性皮膚炎にともなうかゆみが持続していること。

最終的な投与の可否は患者さんそれぞれのかゆみや皮膚症状の程度によって判断されますので、まずは主治医にご相談ください。

なお、薬剤の成分に対してアレルギー反応を起こしたことのある方は使用不可となっています。

副作用

ミチーガ®の主な副作用はヘルペスや蜂巣炎(蜂窩織炎)などの皮膚感染症、上気道炎、注射部位反応です。

また、アトピー性皮膚炎の皮膚症状が悪化したという報告があるため、皮膚に異常が出現した際には速やかに医師に相談しましょう。

費用

ミチーガ®の薬剤費は1本116,426円です。3割負担の場合、34,927円となります。

4週間ごとの投与となりますので、月によっては2本分の費用がかかります。

まとめ

デュピクセント®とミチーガ®の特徴を表にまとめました。

スクロールできます
デュピクセント®ミチーガ®
一般名デュピルマブネモリズマブ
ターゲットIL-4、IL-13IL-31
適応年齢生後6ヶ月以上*13歳以上
投与方法皮下注射皮下注射
投与間隔初回2本
その後
2週毎に1本
4週毎に1本
費用
(1本あたり、
3割負担の場合)
シリンジ型: 18,457円
ペン型: 18,514円
34,927円
各薬剤の特徴

*アトピー性皮膚炎に対しては生後6ヶ月から使用可能ですが、結節性痒疹では15歳以上が適応です。

アトピー性皮膚炎に対する新規の注射薬については以上となります。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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