さいたま市浦和区高砂1-16-12【地図へ】
JR浦和駅直結・アトレ浦和West Area4階
TEL: 048-883-4112
乳児に生まれつき、もしくは生後間もなく「あざ」が見られた場合、大きく「青あざ(蒙古斑など)」「茶あざ(扁平母斑など)」「赤あざ(血管腫)」に分けることができます。
こちらではそれぞれの「あざ」について、特徴や治療法を解説します。
蒙古斑は、日本人の乳幼児のほぼ100%に見られる、均一な青色のあざ(母斑)です。
真皮に残存したメラノサイト(メラニン色素を形成する細胞)によるものとされ、腰部や臀部などに生じたものを蒙古斑、それ以外の部位に存在するものを異所性蒙古斑と呼びます。
蒙古斑は通常学童期までに自然に消退しますが、異所性蒙古斑や、蒙古斑でも広範囲であったり色調が濃いものに関しては自然消退しない場合があり、レーザー療法の適応となります。
Qスイッチルビーレーザーやアレキサンドライトレーザー、Qスイッチヤグレーザーといった種類のレーザーによる治療が可能です。
蒙古斑や異所性蒙古斑の治療時期などは、以下の記事にも詳細を記載しております。
太田母斑とは、顔面の三叉神経第1枝、第2枝領域(片側のおでこや目の周り、頬、側頭部など)に生じる青色調のあざ(母斑)です。
真皮のメラノサイト増殖と表皮(基底層)へのメラニン沈着が特徴であり、生後まもなく発症する早発型と、思春期前後に発症する遅発型とに分けられます。
どちらのタイプも自然消退することはありません。
なお、太田母斑と同様の特徴をもつあざが、肩や上腕に出現したものを伊藤母斑と呼びます。
蒙古斑と同様、太田母斑もQスイッチルビーレーザーやアレキサンドライトレーザー、Qスイッチヤグレーザーによる治療が可能です。
扁平母斑は、出生時からおおよそ1歳頃までに発現する茶あざの一種で、健常者の10%にみられるとされます。
ほとんどの場合は、1個(単発)〜4個程度までにとどまりますが、数が多い場合は、後述のカフェオレ斑の可能性があります。
扁平母斑に対しては、 Qスイッチ付ルビーレーザーによる治療が保険適応となっていますが、治療できる回数に制限があります。
また、一般的には早期に治療する方が効果が高いとされていますが、青あざと比べると色調が残存したり、再発する可能性が高い種類のあざとなっています。
扁平母斑と似た症状として、神経線維種症1型(neurofibromatosis type1: NF1)という遺伝性の疾患(遺伝と関係なく発生する例もみられます)で生じるカフェオレ班が挙げられます。
特に個数が多い(目安として6個以上)場合には注意が必要ですので、心配な場合は一度ご相談ください。
単純性血管腫は、出生時よりみられる平らな赤あざであり、真皮の毛細血管拡張によって皮膚が赤くみえる状態です(血管「腫」という名前はついていますが、実際には腫瘍ではありません)。
部位としては顔面や頸部(首)に好発します。
なお、顔の中央(おでこや眉間、鼻下など)にできた赤あざはサーモンパッチ、首の真後ろにできたものはUnna母斑と呼ばれ、正中部母斑という異なる疾患に分類されます。
単純性血管腫は自然に消退することはなく、色素レーザーによる治療の適応となります。
サーモンパッチに関しては大部分が1歳半〜2歳頃までに自然に消退するため、経過観察が基本です。
Unna母斑はおおよそ半数が自然消退しますが、消退しない例に対しては、色素レーザーの照射療法を考慮します。
乳児血管腫は、苺状血管腫とも呼ばれ、新生児期に発生する良性の腫瘍です。血管内皮細胞という血管の一部を形づくる細胞が増殖することにより、主に顔面や上肢に赤みを帯びた盛り上がりが出現します。
皮膚の赤みや隆起は1歳頃をピークに徐々に消退するため、従来は経過観察が基本とされていましたが、一部では隆起した皮膚が完全に平らにならず、皮膚のたるみや痕、色調変化を残すため、近年は積極的な治療介入が行われる傾向にあります。
また、特に上まぶたにできたものは視力障害の原因となりうるため、早期の治療を要します。
乳児血管腫の主な治療としてはβ受容体遮断薬(プロプラノロール)内服、色素レーザー照射があり、消退後の皮膚の残存病変に対しては外科的切除を考慮する場合もあります。
乳児にみられる青あざ、茶あざ、赤あざについてそれぞれ解説しました。
当院では現時点でこれらの「あざ」に対するレーザー治療は行なっておらず、連携医療機関へのご紹介となりますが、あざの種類によっては早期の診断・治療が望ましい場合がありますので、ご不安なことがありましたらぜひ一度ご相談ください。