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酒さ(酒皶)は、主に中高年の方の顔面に、慢性的に炎症(赤み、かゆみ、ぶつぶつ)を生じる疾患です。
現時点で特定の原因はわかっていませんが、紫外線やアルコール、刺激のある食べ物、急激な気温の変化などが症状の悪化を招くとされています。
2023年には日本皮膚科学会のガイドラインが改定され、治療法についても少しずつ整理されてきました。
今回は酒さの症状や治療法、生活上の注意点について解説します。
顔面の酒さはその症状に応じて以下の3つに分けられます(眼に症状を呈する眼型については、今回割愛します)。
第1度酒さとも呼ばれ、顔に赤み(紅斑)と毛細血管拡張、かゆみやほてりを生じます。
いわゆる「赤ら顔」の状態です。
第2度酒さとも呼ばれ、ニキビに似た赤いぶつぶつや、膿が出現します。
第3度酒さとも呼ばれ、鼻の先端を中心にぶつぶつが出現し、一部は癒合して凹凸(おうとつ)を形成します。
毛穴は拡大し、ミカンの皮の様な見た目となります。
酒さに対する外用薬としては、従来から使用されてきたイオウカンフルローションに加えて、2022年に新たにロゼックス®ゲル(一般名: メトロニダゾール)が保険適応となり、治療の選択肢が広がりました。
特に丘疹膿疱型の酒さに対してはガイドラインで推奨されている薬剤であり、効果が期待できます。
【ロゼックス®ゲルの使用方法】
ロゼックス®ゲルは、酒さに対して、1日2回、洗顔後に適量を塗布します。
主な副作用として使用した部位に赤みやかゆみ、かぶれを生じることがありますので、これらの症状が出た際には使用する頻度を減らすもしくは中止し、医師に相談しましょう。
その他の注意点として、紫外線により効果が減弱するため、使用中は日光や日焼けランプ等による紫外線曝露を避ける必要があります。
また、妊娠3ヶ月以内の方、脳や脊髄に病気のある方、薬剤の成分に対してアレルギーのある方に対しては禁忌となっており使用できません。
この他、保険適応外ですが、アゼライン酸やイベルメクチンクリームなどの外用薬を用いて治療する場合もあります。
酒さの中でも、特に丘疹膿疱型の赤いぶつぶつに対してはミノマイシン®(一般名: ミノサイクリン)やビブラマイシン®(一般名: ドキシサイクリン)などのテトラサイクリン系抗菌薬が処方されることがあります。
これらのお薬は妊娠中の方は内服できないことに注意が必要です。
紅斑毛細血管拡張型の酒さに対してはパルス色素レーザーやNd: YAGレーザー、IPL(intensed pulsed light)などのレーザー機器を使用して拡張した血管を破壊し、赤みの軽減を図る治療を行う場合があります。
前述のように、酒さは紫外線やアルコールをはじめとする種々の刺激で悪化することがあります。
外出時には日焼け止めや、日傘、帽子などで紫外線対策を行ないましょう。
アルコールや特定の食事で症状が悪化する方は、それらの摂取を控えることが選択肢の1つとなります。
普段から保湿をしっかりと行い、洗顔料や化粧品は低刺激性のものを選ぶことも重要です。
ステロイドなどの外用薬を長期にわたって顔面に使用していると、酒さに似た赤みやほてり、ぶつぶつを生じることがあります。
これを「酒さ様皮膚炎」と呼び、原因となっている外用薬の中止が必要ですが、使用中止により一時的に症状の悪化を認めることもあるため、医師とよく相談した上で、治療を進めていくことが推奨されます。
酒さに関しては、症状や悪化要因が人によって異なるため、それぞれに合った治療を行うことが重要です。
お困りの際はぜひご相談ください。
ここまでお読みいただきありがとうございました。